誰がために寿司は廻る

一人暮らしの社会人が好きなことを書きます

人間関係

チームでたこ焼きパーティーをしようという話になった。

私の職場には40人弱の営業職員がいて、5〜6人から成る7つの縦割りチームに分かれている。私のチームは5人で、5年目の先輩が2人と、2年目の先輩が1人、1年目が2人(つまり私以外に同期が1人いる)で構成される。個人のノルマがあるのは勿論、その他にもチームごとに達成すべき目標数字が割り振られ、各チームメンバーで協力してそれに取り組むというわけだ。

夏ごろにチームができてしばらくは仕事の面でも人間関係の面でもおおむね順調だったのだが、ここ最近問題が起こっていた。もしかしたら問題だと思っていたのは私ともう一人の同期だけかもしれないが、私たち1年目にとっては大きな問題だった。

普通の会社で飲み会がどの程度の頻度で開催されるのかはわからないが、私の会社は営業という仕事の性質上、オフィスのメンバー全員が揃う機会というのが滅多になく、飲み会はチーム単位での小規模なものになることが多い。そういうわけで私のチームでも今まで何度か飲み会が開催されたのだけれど、大抵は金曜日の夜、夕方の営業が終わって移動をすると9時過ぎからになり、そのぐらいの時間に居酒屋に順次集合という感じで、完全なる割り勘ではあったが、負担感もそこまでないとその当時は思っており、まあ仕事上の付き合いと思えば、という気持ちで参加していた。

けれど、それからチームの成果が芳しくない期間が続いたり、チームリーダーとの意思疎通のすれ違いが頻発し、ひとつひとつは本当にちょっとした出来事ではあるのだが、「ん…?」と思うような、小さな違和感を覚えることが何度かあり、次第に私と同期の子はチームに対して、特にリーダーに対して良い印象を持てなくなっていった。特に同期の子はプライベートでのつらい出来事が重なったこともあり、年末からずっと顔が死んでいて、チームリーダーだけでなくチームやオフィスそのものに強い憎しみすら覚えているようだった。私は自分のチームが特別窮屈であるとは思っていなかったのだけれど、他のチームの子からは「そっちのチームは大変だよね」などと哀れみの言葉をかけられることが増え、他のチームの話を聞いては「そうか、私のチームは大変なのか」と思い、チームに対する不満をつのらせるようになっていった。言葉の力というのはすごい。

そんなある日、金曜日の終業後に先輩の自宅にチームで集まって、たこ焼きパーティーをしようという話になった。先輩3人は大盛り上がりで、チームのLINEで「私たこパってしたことないから楽しみ!」「みんなたこ焼きの中に何入れるか考えておいてねー!」などとはしゃぎまくっていたが、私ともう一人の同期は正直戸惑いを隠せず、2人とも全く乗り気ではなかったが、賛成とも反対とも言わなかった。当然参加するよね!楽しいね!という雰囲気で、とてもじゃないが嫌ですなんて言える状況にはなかったのだ。例え「その日は空いていません」と言ってもきっと、じゃあいつなら空いてる?となるに決まっているから、それも言わなかった。

気が進まない理由と言えば、まず金曜日の終業後の遅い時間に集合すること、そこから材料を買い出しに行ってたこ焼きを作って食べて飲んで後片付けをして、となると解散時間が相当遅くなってしまうであろうこと、それからそもそも私は4、5人の集まりだととてもやりづらいこと(話を振ってもらわない限りはほとんど喋らなくなる)、先輩がいるとどうしても気を遣ってしまうこと、であるにもかかわらず完全な割り勘であること、仕事の話など一切なくほとんどが恋バナであること、数え出したらキリがない。中でも嫌なのは、私たちの意志などおかまいなしに全ての話が進んでいくこと、ウフフ!みんな楽しいね!といった雰囲気を押し付けられること、押し付けられるという言い方になってしまうのがもう既に末期感を表しているが、私は楽しくないのに楽しい顔をするのがすこぶる苦手なのである。飲み会の雰囲気自体はリーダーの趣味であろう、女子校のような和気あいあいとしたノリで、今日は無礼講だからね、という感じである。なのだけれど、リーダーが日頃から礼儀には大変厳しい人で、少しでも無礼講な言動をかましたときには目が笑っておらず、後からこっそりと言ってくるようなタイプなので、全く心は休まらない。対同期のようにフランクでもなく、対指導者層のようにビジネスライクでもなく、極めて中途半端な関係性がそこにはあって、私は私なりに気を遣うために、ものすごいカロリーを消費するのである。

仕事上のことであればいくら気が進まないことでも割り切ってやれるのだけれど、仕事とは全く関係のないこのイベントに対しては、割り切れない気持ちがどうしてもあった。そりゃあ先輩は自分の好きなように企画をして、後輩が先輩の指示に逆らうことはできないし、先輩は後輩に気を遣うこともなければお金を多めに出すということもないし、さぞかし楽しいんだろうなあなどと思った。

この件で私はどうしよう行きたくないなあなどと1週間ぐらい思い悩んで、そして直後に再びチーム内でイベントのようなトラブルのような案件が発生し、もうこれ以上抱えきれない、悩んでいてもしょうがないと思って、思い切ってマネージャーに相談してみた。マネージャーとはオフィスの長であり最年長のベテランで、誰よりも良識があり話がわかる人だということも私は知っていたから、私はたこ焼きパーティーができればしたくないですということ、もう一つのイベントもしたくないです、というかそもそも今のチームが苦手ですということ、そしてその理由を赤裸々に打ち明けた。マネージャーはまとまりのない私の相談を真摯に聞いてくれて、ところどころで「何がそんなに嫌なの?」「それじゃあこういう場合も辛いと感じるの?」などと尋ねて話の整理を手伝ってくれた。そして、ちゃんと言ってくれてありがとう、これからも少しでも不満や疑問に思うことがあったら何でもすぐ言ってね、その方がすぐに対応出来るから、と言ってくれた。私は少し泣いた(泣くほど辛いの!?と笑われた)。

結果、たこ焼きパーティーは中止になった。

マネージャーが私の意見をリーダーにどう伝えたか、またたこパがなくなった経緯が他の先輩にどう伝わったかは定かではないが、私の身勝手と言えなくもない行動が、純粋に先輩方が楽しみにしていたイベントを潰してしまったのは事実だし、翌日のチームには若干の気まずさがあった。その時は確かに「中止になって良かった」「勇気を出して言ってみるものだ」と思ったし、その喜びをチームのもう一人の同期と分かち合ったけれど、本当にこれで良かったのかな、という気持ちがどうしても拭えない。