誰がために寿司は廻る

一人暮らしの社会人が好きなことを書きます

雨の匂い

雨の匂いが好きだ。

雨自体には特別匂いはないだろうから、雨の匂いと言っていいのかわからないけど、雨が降る前、あるいは降ったあとの街の匂いが好きだということに、最近になって気づいた。雨が降ったあとの空気を、わざと大きく吸い込んでみたりする。
人の匂い、草木の匂い、アスファルトの匂い、いろんな匂いが水蒸気によって持ち上げられ、グチャグチャになって私たちの鼻に届いているから、何の匂いとも表現しがたいのに、「雨の匂い」と言えば多くの人には通じるというのも面白いなと思う。

 

「匂い」というのは人間の五感の中で、最も脳の深いところで記憶される情報だと聞いたことがある。人間で言えば、顔よりも声よりも、深層心理でいちばん印象に残るのが匂いなんだという。本当かどうかわからないけど。
確かに生理的に無理な匂い、生理的に好きな匂いってあるし、匂いがきっかけで人を好きになったこともあるし、会社でいい匂いの人がいれば無意味に近付きたくなるし、自分が汗臭くなっているときはそれだけで気分がよくないし、コミケとらのあなは常に臭い。
形にするのが難しい上に画像や音声のようにデータとして他人と共有できないために認知されにくいだけで、そういう仕組みがもし出来たらメディア革命が起きる気がする。科学者のみなさん頑張ってください。

 

最後に少しだけ汚い話をすると、私の耳垢は桃の匂いがする。嘘ではない。
きのう食後に母からもらった大きな桃を食べたのだが、桃というのは剥くのがなかなか難しい果物で、いつも種の部分がうまいこと身と分離してくれず(母は何故かこれを難なくこなしていた)、私はかなりの苦戦を強いられた。
果汁まみれになった指で桃を食べ、軽く水で手を洗ってそのあと寝るまで過ごしていたのだが、ずっと耳垢の匂いがしていた。
私はこれからの人生、桃を食べる度に耳垢のことを思い出すのだろうと思うと、匂いというのはバカにできない。